ペットの傷・臭いの退去費用はどこまで借主負担?請求書で見る3つの分かれ目
運営:株式会社ドローン工務店
ペットの傷や臭いは借主負担になりますか?
国土交通省のガイドラインでは、ペットによる柱・クロス等の傷や臭いの付着は、飼育が認められている物件でも借主負担と判断される場合が多い、とされています。
国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(再改訂版)は、飼育ペットによる建物の毀損について、ペットの飼育が禁止されている場合は当然のこと、飼育が認められている場合でも、賃借人の善管注意義務違反と判断される場合が多いと考えられる、と整理しているとされています。
つまり「ペット可だから傷は貸主持ち」という理解は通りにくい、というのがガイドラインの立場です。ここまでは請求する側に有利な話ですが、負担になることと、全額を払うことは別です。次の3つで金額が変わります。
分かれ目1: クロスなら入居年数で負担は減りますか?
減ります。クロスは6年で残存価値1円とされているため、借主に責任がある傷でも、入居年数が長いほど負担額は下がる考え方です。
ガイドラインは、クロス・カーペット・クッションフロアなどの耐用年数を6年とし、経過年数に応じて借主の負担割合を減らす考え方を示しているとされています。ペットの引っかき傷でクロスを張り替える場合も、この考え方が外れる理由はありません。
入居3年なら残存価値は半分程度、6年なら1円という計算になります。請求書に入居年数と負担割合が書かれていない場合は、そこを確認するのが先です。
一方で、柱や建具のような建物本体の部材は、経過年数を考慮せず毀損部分の補修費用が借主負担になるとされています。同じ「ペットの傷」でも、クロスか柱かで扱いが分かれます。
- クロス・カーペット・クッションフロア: 6年で残存価値1円(経過年数を考慮)
- 柱・建具(襖・障子を含む): 経過年数を考慮せず補修費用が借主負担とされる
- フローリングの部分補修: 経過年数を考慮しない場合がある
分かれ目2: 補修の範囲は一面ですか、部屋全体ですか?
ガイドラインは毀損部分の補修を基本とし、クロスなら傷のある箇所を含む一面分までが借主負担の目安、としているとされています。
ペットの傷は腰から下の高さに集中することが多く、傷のある面と無い面がはっきり分かれます。それでも「クロス全面張り替え一式」で請求されている場合、面積の根拠を確認する余地があります。
当サービスの診断結果でも、見積や請求書を受け取っている方には、項目ごとの単価・数量が明記されているかの確認を最初に案内しています。
分かれ目3: 消臭・消毒費用は契約書の特約ですか?
臭いの除去費用は、ガイドラインの考え方で決まる部分と、契約書の特約で定額が決まっている部分があります。請求の根拠がどちらかを見分けてください。
ペット可物件では、退去時に消毒・消臭費用を定額で徴収する特約や、ペットによる傷・汚れは経過年数を考慮せず借主負担とする特約が設けられていることがあります。特約が有効かどうかは、契約時に内容が明確に説明され、借主が了承していたかなどで判断されるとされています。
請求書に「消臭費」「ペット消毒」とあれば、契約書の特約条項を探してください。特約がないのに定額で請求されている場合は、根拠の説明を求める余地があります。特約がある場合でも、金額が相場から大きく外れていれば、消費生活センター(188)に相談するという選択肢があるとされています。
ペット関連の請求書で確認する5点
- 1請求書に入居年数と負担割合が書かれているか
- 2傷のある部材はクロスか、柱・建具か(経過年数の扱いが違う)
- 3クロスは傷のある一面分か、部屋全体か
- 4消臭・消毒費用の根拠は契約書の特約か
- 5ペットと無関係な経年劣化(日焼け・家具跡)が混ざっていないか
よくある質問
ペット可の物件なら、ペットの傷は貸主負担ではないのですか?
ガイドラインでは、飼育が認められている場合でも、ペットによる建物の毀損は借主の善管注意義務違反と判断される場合が多いとされています。ただし、クロスなら入居年数に応じて負担額は減る考え方です。
猫の引っかき傷でクロス全面張り替えを請求されました。
ガイドラインは毀損箇所を含む一面分までを借主負担の目安としているとされています。傷のない面まで含まれていないか、面積と単価の内訳を確認してください。入居6年以上なら残存価値は1円という考え方です。
契約書にペット消毒費の定額特約があります。払うしかありませんか?
契約時に内容が明確に示され了承していた特約は有効とされる場合があります。金額の根拠に納得できない場合は、管理会社に書面で説明を求め、それでも折り合わなければ消費生活センター(188)に相談する選択肢があります。
出典
- 国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(再改訂版)
- 2026年9月21日: 当サービスの診断件数にもとづく記述を削除しました(記録に動作確認の入力が含まれており、実際のご相談の件数として示せないため)