退去の立会いで言ってはいけないこと、確認すべきこと。サインの前に見る書類の違い
運営:株式会社ドローン工務店
退去の立会いでは何が決まりますか?
その場で金額が確定するわけではありませんが、「どこに、どんな傷みがあるか」の記録がここで作られ、あとの請求はその記録をもとに組み立てられます。
国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(再改訂版)は、入退去時に物件の状況を確認するリストの様式(例)を示し、退去時の精算については明細等の様式(例)を別表4として掲げているとされています。立会いは、この確認リストを埋める場にあたります。傷の位置・大きさ・原因の認識が、貸主側と借主側で食い違わないように記録するのが本来の目的です。
同じ「4か所の傷」でも、10cm未満の擦り傷と30cm以上の穴では負担の考え方が違います。立会いでは、か所数だけでなく一つひとつの大きさと原因まで記録に残すことが、あとで効きます。
立会いで確認すべきことは何ですか?
「傷みの位置と大きさを一緒に見て記録する」「その傷みが経年劣化か借主の責任か、その場の認識を聞く」「記録の写しをもらう」の3点です。
1つ目は記録です。管理会社の担当者が書き込む確認リストや写真を、自分の目でも見て、同じ場所を自分のスマートフォンでも撮っておいてください。日付が残る写真は、あとで請求の内訳と突き合わせるときの土台になります。
2つ目は認識の確認です。ガイドラインは、通常の使用による損耗や経年劣化は貸主負担、借主の故意・過失や通常を超える使い方による損耗は借主負担、と整理しているとされています。担当者が「これは借主さんの負担になります」と言った箇所については、「通常の使用でできたものではないという判断ですか」と、その場で理由を聞いておくと、あとの話が早くなります。
3つ目は写しです。確認リストや立会い時の書類にサインを求められたら、その控えを必ず受け取ってください。控えがないと、あとで届いた請求書と立会いの記録を比べられません。
- 傷みの位置・大きさ・か所数を一緒に見て、自分でも写真を撮る
- 借主負担と言われた箇所は、その理由(通常使用を超えると判断した根拠)を聞く
- 入居時の状況確認リストや入居時の写真があれば持参して、比べる
- サインした書類の控えを受け取る
立会いで言わないほうがいいことは何ですか?
「全部払います」「いくらでもいいです」といった金額の了承と、心当たりのない傷みへの「たぶん自分です」という推測です。
立会いの場は、傷みの有無を確認する場であって、金額に合意する場ではありません。担当者から「この分は借主負担で、だいたい〇万円です」と言われても、内訳のない金額に「分かりました」と答える必要はありません。「請求書の内訳を見てから返事します」で足ります。
心当たりのない傷みについて、雰囲気で「自分がつけたかもしれません」と言うのも避けてください。原因が不明な傷みは、通常の使用の範囲か、入居前からあったものかを確かめる余地があります。分からないものは「分かりません」「入居時からあったかもしれません」と、そのまま言えば十分です。
当サービスの診断では、損傷の原因を「普段の生活の中でできた」「引っ越し作業中にぶつけた」「ペットが原因」「その他・よく分からない」から選んでもらっています。「よく分からない」は選んでよい答えです。原因を自分で決めつけない姿勢のままで立会いに臨むのが安全です。
その場でサインを求められたらどうしますか?
「傷みの状況を確認した」というサインと、「この金額を負担する」というサインは別物です。書類のどちらの意味かを読んでから決めてください。
立会いの書類には、確認リストのように「この状態であることを確認した」と記すものと、精算の合意や負担割合まで書き込んだものがあります。前者は状況の記録なので、内容が実際と合っていればサインして問題ありません。後者は請求の合意にあたるので、内訳を持ち帰って確認してからでも遅くありません。
退去当日は引っ越しで気持ちも時間も余裕がなく、「ここでサインしないと終わらない」と感じやすい場面です。金額や負担割合が入った書類なら、「持ち帰って確認してから返送します」と伝えて構いません。
立会いの前に準備できることはありますか?
入居時の写真と確認リストを探しておくこと、気になる傷みを先に撮って自分で目安を持っておくことです。
写真があれば、傷の大きさと位置を第三者に見せて、負担の目安を聞くことができます。写真がなくても、経年劣化の考え方はガイドラインに沿って適用されるとされているので、不利になるわけではありません。ただ、立会いの前に自分の家の状態を一度見ておくと、担当者の指摘に驚かずに済みます。
当サービスの退去費用診断は、傷みの写真と入居年数・心配な点を入れると、負担の目安と確認すべき点を返します。請求書が届く前でも使えます。目安は診断であって精算額ではないので、立会いでの確認材料として使ってください。
立会いに持っていくもの・することの5点
- 1入居時の写真・状況確認リスト(あれば)
- 2気になる傷みを撮った写真と、その原因の自分なりの記憶
- 3担当者が記録した箇所を自分でも撮る
- 4借主負担と言われた箇所は理由を聞く
- 5金額・負担割合が書かれた書類は持ち帰って確認する
よくある質問
立会いで「借主負担」と言われた箇所は、もう覆りませんか?
立会いでの発言は担当者の見立てで、精算の確定ではありません。ガイドラインは経年劣化・通常損耗は貸主負担としているとされているので、請求書が届いたら内訳と照らして確認できます。立会いの記録の控えがあると話が早くなります。
立会いに参加できません。不利になりますか?
参加しないと、記録が貸主側の一方的なものになりやすいので、できるだけ参加をおすすめします。どうしても無理な場合は、退去前に自分で室内全体と気になる箇所の写真を日付つきで撮り、確認リストの写しを送ってもらうよう頼んでください。
立会いでサインしてしまいました。請求に納得できません。
サインした書類が状況の確認なのか、金額の合意なのかをまず確認してください。状況確認のサインなら、金額はこれからの話です。金額の合意にあたる場合でも、内訳が経年劣化まで含んでいれば、管理会社に書面で説明を求めることはできます。それでも折り合わなければ、消費生活センターに相談する方法があるとされています。
出典
- 国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(再改訂版)・入退去時の物件状況及び原状回復確認リスト(例)・別表4 原状回復の精算明細等に関する様式(例)
- 2026年9月21日: 当サービスの診断件数にもとづく記述を削除しました(記録に動作確認の入力が含まれており、実際のご相談の件数として示せないため)